第15話 胃腸だって、慣れていなかった

増量日記

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体重は動かない。朝の気持ち悪さも治らない。前回そう書いた通り、ひとりで考えるのはやめて、先生に相談することにした。

まずはLINEでメッセージを送った。相変わらず、朝食を食べると気持ち悪くなること。夕飯を減らしても、変わらないこと。

先生からは「2、3日、考えさせてほしい」と返事がきた。その間も、言われた通り夕飯を減らして様子を見たけれど、やっぱり朝は食べられないままだった。ただ単純に、また摂取カロリーが減っただけだった。

先生も色々と調べてくれたようで、後日、会社帰りに話をする時間をとってくれた。

最初に確認されたのは、意外なことだった。

「プロテインを飲み始めると、お腹を下したりする人もいるんですが、あきらさんは大丈夫ですか?」

下痢などは、まったく問題なかった。そう伝えると、先生は続けた。

先生の見立ては、こうだった。

先生いわく、あきらさんはボディメイクを始める前、10年くらい、朝はほとんど食べない生活を続けていた。食べる日でも、コーヒーと、4分の1のバウムクーヘンくらい。昼も、ほとんど食べないことが多かったとのこと。

それが、この2ヶ月で一変した。朝も昼も、しっかり食べる。食べる量が、一気に増えた。

「胃腸が、その変化にまだついていけていないのかもしれません」

10年、ほとんど休んでいた消化や吸収の仕事が、急に増えた。だから胃腸が過労気味になって、動きが弱っているのではないか——そういう話だった。

自分に置き換えて考えてみた。ある日突然、仕事量が倍になったら。正直、嫌だし、疲れてしまう。胃腸だって、同じなのかもしれない。

体はもう慣れてきたと思っていた。でも、慣れていなかったのは、筋肉やモチベーションだけじゃなかったらしい。胃腸も、まだ慣れている途中だった。

そこで先生が勧めてくれたのが、内科で一度みてもらうことだった。状態を正確に知るには、それが一番だと。

正直、医者は面倒だな、と思った。

顔に出ていたのかもしれない。先生は、こう付け足してくれた。「医者に行くのが面倒なら、まずは胃薬を飲んでみるのもいいと思いますよ」

胃薬なら、手軽だし、面倒もない。僕は、胃薬を飲んでみることにした。

体重のことも、聞いてみた。

先生の答えは、どこか安心させてくれるものだった。

「停滞期は、必ずあります。人の体は、何かを変えようとすると、元に戻ろうとする力が働くんです」

順調に進んでいるからこそ、停滞期は来る。だから、焦る必要はない。胃薬で栄養の吸収が戻って、トレーニングを続けていれば、また増えていくはずだ、と。

そう言ってもらえて、少し肩の力が抜けた。

トレーニングは、この時期もなんとなく続けていた。面倒だと感じた日でも、1セットだけやる。そうやって、いつの間にか「やらないと少し落ち着かない」くらいの習慣にはなっていた。

だから、トレーニングはこのまま。あとは食事、というより胃腸を、なんとかすればいい。やることは、はっきりした。

この週のデータはこちら。

日付体重(kg)カロリー(kcal)タンパク質(g)脂質(g)炭水化物(g)食物繊維(g)
2/252.21,809106.841.5259.27.5
2/352.21,622107.630.8243.69.8
2/452.11,739122.431.8246.49.0
2/552.32,455102.989.0305.710.0
2/652.12,056106.668.6252.52.7
2/752.11,846107.037.1267.76.2
2/852.21,690109.630.2243.24.4
週平均52.21,888109.047.0259.87.1

先週末:52.3kg → 今週末:52.2kg(−0.1kg)

やっぱり、動かない。でも、理由がわかっただけで、少し違う。ただ足踏みしているのと、足踏みの理由を知っているのとでは、気持ちがぜんぜん違う。


今思うと、2月は本当に苦しい時期だった。

体重は増えない。朝は気持ち悪い。鏡を見ても、変化はわからない。やめる理由なら、いくらでもあった。

それでも続けられたのは、最初に「野球でホームランを打つ」という目標を決めていたからだと思う。

遠くにゴールがあると、足踏みの時期も、そこへ向かう途中なんだと思える。あの日、先生と目標の話をしておいて、本当によかった。

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