
体重は動かない。朝の気持ち悪さも治らない。前回そう書いた通り、ひとりで考えるのはやめて、先生に相談することにした。
まずはLINEでメッセージを送った。相変わらず、朝食を食べると気持ち悪くなること。夕飯を減らしても、変わらないこと。
先生からは「2、3日、考えさせてほしい」と返事がきた。その間も、言われた通り夕飯を減らして様子を見たけれど、やっぱり朝は食べられないままだった。ただ単純に、また摂取カロリーが減っただけだった。
先生も色々と調べてくれたようで、後日、会社帰りに話をする時間をとってくれた。
最初に確認されたのは、意外なことだった。
「プロテインを飲み始めると、お腹を下したりする人もいるんですが、あきらさんは大丈夫ですか?」
下痢などは、まったく問題なかった。そう伝えると、先生は続けた。
先生の見立ては、こうだった。
先生いわく、あきらさんはボディメイクを始める前、10年くらい、朝はほとんど食べない生活を続けていた。食べる日でも、コーヒーと、4分の1のバウムクーヘンくらい。昼も、ほとんど食べないことが多かったとのこと。
それが、この2ヶ月で一変した。朝も昼も、しっかり食べる。食べる量が、一気に増えた。
「胃腸が、その変化にまだついていけていないのかもしれません」
10年、ほとんど休んでいた消化や吸収の仕事が、急に増えた。だから胃腸が過労気味になって、動きが弱っているのではないか——そういう話だった。
自分に置き換えて考えてみた。ある日突然、仕事量が倍になったら。正直、嫌だし、疲れてしまう。胃腸だって、同じなのかもしれない。
体はもう慣れてきたと思っていた。でも、慣れていなかったのは、筋肉やモチベーションだけじゃなかったらしい。胃腸も、まだ慣れている途中だった。
そこで先生が勧めてくれたのが、内科で一度みてもらうことだった。状態を正確に知るには、それが一番だと。
正直、医者は面倒だな、と思った。
顔に出ていたのかもしれない。先生は、こう付け足してくれた。「医者に行くのが面倒なら、まずは胃薬を飲んでみるのもいいと思いますよ」
胃薬なら、手軽だし、面倒もない。僕は、胃薬を飲んでみることにした。
体重のことも、聞いてみた。
先生の答えは、どこか安心させてくれるものだった。
「停滞期は、必ずあります。人の体は、何かを変えようとすると、元に戻ろうとする力が働くんです」
順調に進んでいるからこそ、停滞期は来る。だから、焦る必要はない。胃薬で栄養の吸収が戻って、トレーニングを続けていれば、また増えていくはずだ、と。
そう言ってもらえて、少し肩の力が抜けた。
トレーニングは、この時期もなんとなく続けていた。面倒だと感じた日でも、1セットだけやる。そうやって、いつの間にか「やらないと少し落ち着かない」くらいの習慣にはなっていた。
だから、トレーニングはこのまま。あとは食事、というより胃腸を、なんとかすればいい。やることは、はっきりした。
この週のデータはこちら。
| 日付 | 体重(kg) | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | 食物繊維(g) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2/2 | 52.2 | 1,809 | 106.8 | 41.5 | 259.2 | 7.5 |
| 2/3 | 52.2 | 1,622 | 107.6 | 30.8 | 243.6 | 9.8 |
| 2/4 | 52.1 | 1,739 | 122.4 | 31.8 | 246.4 | 9.0 |
| 2/5 | 52.3 | 2,455 | 102.9 | 89.0 | 305.7 | 10.0 |
| 2/6 | 52.1 | 2,056 | 106.6 | 68.6 | 252.5 | 2.7 |
| 2/7 | 52.1 | 1,846 | 107.0 | 37.1 | 267.7 | 6.2 |
| 2/8 | 52.2 | 1,690 | 109.6 | 30.2 | 243.2 | 4.4 |
| 週平均 | 52.2 | 1,888 | 109.0 | 47.0 | 259.8 | 7.1 |
先週末:52.3kg → 今週末:52.2kg(−0.1kg)
やっぱり、動かない。でも、理由がわかっただけで、少し違う。ただ足踏みしているのと、足踏みの理由を知っているのとでは、気持ちがぜんぜん違う。
今思うと、2月は本当に苦しい時期だった。
体重は増えない。朝は気持ち悪い。鏡を見ても、変化はわからない。やめる理由なら、いくらでもあった。
それでも続けられたのは、最初に「野球でホームランを打つ」という目標を決めていたからだと思う。
遠くにゴールがあると、足踏みの時期も、そこへ向かう途中なんだと思える。あの日、先生と目標の話をしておいて、本当によかった。



