第21話 ジムを、知ってしまった

増量日記

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ジムに行ってから、家でのダンベルトレーニングが、少し物足りなく感じるようになった。

やっていることは、何も変わっていない。10kgのダンベルで、12回を3セット。前と同じメニューを、前と同じようにこなしている。

ただ、あの日チェストプレスで感じた、胸にしっかり効いている感覚。あれが、家では戻ってこない。

知らなければ、こんなことは思わなかったはずだ。

じゃあ通えばいい、という話になる。でも、そう簡単でもなかった。

会社を出るのが、だいたい19時30分。そこから電車に乗って、最寄り駅に着くのが21時ごろになる。家に帰ってから出直す、というのは、どう考えても現実的じゃない。

つまり、会社帰りに寄れるジムでなければ、通うのは難しい。

通勤のときに、調べてみた。

最寄り駅には、ジムがない。帰り道の途中にある、ひとつ前の駅には、ある。

……ひとつ前の駅。

ひと駅手前で降りて、トレーニングをして、また電車に乗って、ひと駅戻る。文字にすれば、たったそれだけのことだ。それなのに、わざわざ降りて通うのかと考えると、どうにも気が進まない。

スポーツセンターも調べた。トレーニングルームはあるし、家から車で5分。悪くない。

ただ、僕が家に帰ってくる時間には、もう営業が終わっている。

結局、現実的なのは、ひとつ前の駅のジムだけだった。

答えは出ている。それなのに、通う気持ちには、どうしてもならない。

前にも、同じようなことを書いた気がする。ジムの話になると、僕はいつも、何かしら理由を見つけてくる。

ただ、前とは少し違う気もしている。

あの時は、行きたくなかった。今は、行きたいのに行けない——と、自分では思っている。

本当にそうなのかは、正直、あまり自信がない。

もやもやしたまま、その週も、家でダンベルを持ち上げていた。

来週には、先生とのセッションがある。

今後のことは、そこで相談しよう。そう決めて、ひとまず考えるのをやめた。

そんな週の日曜日、3月15日。

夕飯が、久しぶりに妻の手作り餃子だった。

これが、うまい。

気づいたら、かなりの量を食べていた。食べすぎた、と思ったのは、全部食べ終わったあとだった。

「今日はよく食べるね」

妻にも、息子にも言われた。妻は、なんだか嬉しそうだった。

お正月に実家へ帰ったときは、誰にも変化を気づいてもらえなかった。それを思い出すと、たった一言でも、悪くないものだなと思う。

食べられない、食べられないと、ずっと言い続けてきた人間が、その日は普通に食べすぎていた。

この週のデータはこちら。

日付体重(kg)カロリー(kcal)タンパク質(g)脂質(g)炭水化物(g)食物繊維(g)
3/953.01,997104.425.4344.313.7
3/1052.72,24196.056.4342.812.3
3/1153.31,964110.933.5310.17.6
3/1253.02,183113.750.4325.57.8
3/1353.32,044101.742.4325.06.4
3/1453.21,78995.227.0304.412.3
3/1553.12,80898.189.2401.519.7
週平均53.12,147102.946.3336.211.4

先週末:53.0kg → 今週末:53.1kg(+0.1kg)


3月15日のカロリーは、2,808kcal。この週で、いちばん高い数字だった。

ジムのことは、何ひとつ決まらなかった週だ。

それでも数字を伸ばしたのは、ジムでも、プロテインでもなかった。妻の餃子だった。

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