
ジムに行ってから、家でのダンベルトレーニングが、少し物足りなく感じるようになった。
やっていることは、何も変わっていない。10kgのダンベルで、12回を3セット。前と同じメニューを、前と同じようにこなしている。
ただ、あの日チェストプレスで感じた、胸にしっかり効いている感覚。あれが、家では戻ってこない。
知らなければ、こんなことは思わなかったはずだ。
じゃあ通えばいい、という話になる。でも、そう簡単でもなかった。
会社を出るのが、だいたい19時30分。そこから電車に乗って、最寄り駅に着くのが21時ごろになる。家に帰ってから出直す、というのは、どう考えても現実的じゃない。
つまり、会社帰りに寄れるジムでなければ、通うのは難しい。
通勤のときに、調べてみた。
最寄り駅には、ジムがない。帰り道の途中にある、ひとつ前の駅には、ある。
……ひとつ前の駅。
ひと駅手前で降りて、トレーニングをして、また電車に乗って、ひと駅戻る。文字にすれば、たったそれだけのことだ。それなのに、わざわざ降りて通うのかと考えると、どうにも気が進まない。
スポーツセンターも調べた。トレーニングルームはあるし、家から車で5分。悪くない。
ただ、僕が家に帰ってくる時間には、もう営業が終わっている。
結局、現実的なのは、ひとつ前の駅のジムだけだった。
答えは出ている。それなのに、通う気持ちには、どうしてもならない。
前にも、同じようなことを書いた気がする。ジムの話になると、僕はいつも、何かしら理由を見つけてくる。
ただ、前とは少し違う気もしている。
あの時は、行きたくなかった。今は、行きたいのに行けない——と、自分では思っている。
本当にそうなのかは、正直、あまり自信がない。
もやもやしたまま、その週も、家でダンベルを持ち上げていた。
来週には、先生とのセッションがある。
今後のことは、そこで相談しよう。そう決めて、ひとまず考えるのをやめた。
そんな週の日曜日、3月15日。
夕飯が、久しぶりに妻の手作り餃子だった。
これが、うまい。
気づいたら、かなりの量を食べていた。食べすぎた、と思ったのは、全部食べ終わったあとだった。
「今日はよく食べるね」
妻にも、息子にも言われた。妻は、なんだか嬉しそうだった。
お正月に実家へ帰ったときは、誰にも変化を気づいてもらえなかった。それを思い出すと、たった一言でも、悪くないものだなと思う。
食べられない、食べられないと、ずっと言い続けてきた人間が、その日は普通に食べすぎていた。
この週のデータはこちら。
| 日付 | 体重(kg) | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | 食物繊維(g) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3/9 | 53.0 | 1,997 | 104.4 | 25.4 | 344.3 | 13.7 |
| 3/10 | 52.7 | 2,241 | 96.0 | 56.4 | 342.8 | 12.3 |
| 3/11 | 53.3 | 1,964 | 110.9 | 33.5 | 310.1 | 7.6 |
| 3/12 | 53.0 | 2,183 | 113.7 | 50.4 | 325.5 | 7.8 |
| 3/13 | 53.3 | 2,044 | 101.7 | 42.4 | 325.0 | 6.4 |
| 3/14 | 53.2 | 1,789 | 95.2 | 27.0 | 304.4 | 12.3 |
| 3/15 | 53.1 | 2,808 | 98.1 | 89.2 | 401.5 | 19.7 |
| 週平均 | 53.1 | 2,147 | 102.9 | 46.3 | 336.2 | 11.4 |
先週末:53.0kg → 今週末:53.1kg(+0.1kg)
3月15日のカロリーは、2,808kcal。この週で、いちばん高い数字だった。
ジムのことは、何ひとつ決まらなかった週だ。
それでも数字を伸ばしたのは、ジムでも、プロテインでもなかった。妻の餃子だった。



