第8話 「なぜ増量したいのか」と向き合った日

増量日記

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1ヶ月が経ち、2回目のセッションが始まった。

先生に「1ヶ月、どうでしたか?」と聞かれた。

正直に話した。体重は増えたけど見た目が変わらない。食費もかかってきた。YouTubeで劇的変化の動画を見るたびに、自分には向いていないんじゃないかと思うようになってきた、と。


先生の答えは、思っていたものとは少し違った。

「劇的に変えたいなら、食事量もトレーニング量も、もっと増やす必要があります。でも、あきらさんが目標の数値に近い食事を取れていたなら、それなりの身体になっているはずなんです。できていないのは、食べられていないからじゃないですか?」

言われてみれば、そうだった。食べたいとは思っている。でも、物理的にそんなに食べられない。

「トレーニングも、負荷や回数を上げれば早く変わりますよ。ただ、身体を壊す人も多い。3ヶ月でムキムキになって、すぐ戻ってしまう人もいれば、怪我をしてしまう人もいます。あきらさんに合うペースを一緒に探していくことが大事なんです」

焦ることはない、ということだった。

そして、思いがけず褒めてもらった。

「1ヶ月、食事もトレーニングもしっかり記録できていますよね。急激な変化は難しくても、行動し続けているのは間違いない。これだけ記録が取れていれば、今後必ず変化していきます」

やる気が薄れかけていたところに、その言葉はじわっと効いた。


それから、先生に改めて聞かれた。

「なぜ増量したいんですか?増量して、どうしていきたいんですか?」

…正直、少し困った。

なんとなく、モテたいとか、かっこよくなりたいとか、そういうぼんやりとしたことは頭にあった。でも「どうモテたいのか?いつまでに何をして?」と掘り下げられると、うまく答えられない。

「曖昧な理由だと、続かないんですよ。しっかりした目標を持つほうがいい。内面にしっかり向き合わせることが、ボディメイクコーチの仕事だと思っています」

先生にそう言われて、しばらく考えた。

そのとき思い浮かんだのが、草野球のことだった。

4月からシーズンが始まる。ここ最近、動きが鈍くなっている自分が気になっていた。来シーズンには柵越えのホームランを打ちたい。それが出てきた瞬間、「あ、これだ」と思った。モテたいよりも、グラウンドで動ける自分になりたい。そっちのほうが、ずっとリアルだった。

4月まで、とにかく頑張ってみよう。そう決めた。


続いて、どこに筋肉をつけたいかを聞かれた。

「胸です。鏡で見るたびに、骨と皮なのが気になって……それがやる気を削いでいる気がします」

それならダンベルフライを取り入れていきましょう、と先生。

そして睡眠の話になった。仕事から帰るのが21時ごろで、食後2時間あけてからトレーニングをしていると、寝るのが1時を過ぎてしまう。そう相談すると、週3回のメニューを分割することを提案してくれた。

  • 1日目:ダンベルプレス 3セット(7kg・10回)/サイドレイズ 3セット(7kg・10回)
  • 2日目:ダンベルフライ 3セット(7kg・10回)/バックランジ 3セット(40回)
  • 3日目:1日目と同じメニューを交互に繰り返す

1回のトレーニングが短くなって、夜遅くなりすぎない。身体への負担も分散できる。


セッションが終わって、ひとつ感じたことがあった。

もし1人でやっていたら、とっくに諦めていたと思う。

改めて、1人でやることの難しさを感じたセッションだった。色々な情報に惑わされず、自分のペースでしっかりと継続していくこと。それが大事なんだと、先生との話を通じて少しわかった気がした。

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