第27話 ゴールデンウィークが明けたら

増量日記

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同じ日の、21時30分。

朝から野球をやった日の夜に、6回目のセッションが入っていた。

先生には、この日に草野球の開幕戦があることを伝えてあった。だから、始まってすぐにこう聞かれた。

「野球、どうでした?」

久しぶりの野球なのに、体が思うように動いた。バットの振りも、当たったときの感触も、走塁も、今までより良かった。

そのまま、そう伝えた。

「そういう実感ができる機会があって、羨ましいです」

先生は、そう言った。

「それに、全然変化がなかった、ということがなくて安心しました」

安心した、と先生は言った。ということは、先生のほうも気にしていたのだと思う。

そして、本題に入った。

前回の宿題は、自分の価値観や目標と向き合うことだった。1週間かけて考えて、僕が出した答えは「理想とする1週間の過ごし方」だった。

まずは、それを先生に説明した。

週3回はジムに通い、週2回はゴルフに行く。残りは家族と、自分のために使う。そして、それを本当にやろうとしたら何が必要になるのか。考えたことを、そのまま話した。

「ちゃんと考えられていますね」

そう言ってもらえた。

「それを実践するために何をしていくかを、あらためて考えていきましょう」

考えたところで終わりだと、どこかで思っていた。

週3回のジムと、週2回のゴルフ。足すと週5日で、休みは週2日しかない。あの、答えの出ないまま置いてきた話を、これから先生と一緒にやっていくことになる。

「他に、何か気づいたことはありませんか?」

そう聞かれて、話したことがひとつある。

若い頃の僕は、会社で出世したいと思っていた。仲間や部下を引っ張って、導ける人になりたかった。

もう少し具体的に言うと、40歳あたりでエリアマネージャーになっていたい、と考えていた。複数の店舗をまとめて管理する立場だ。

その40歳で、僕は転職をした。職種は同じで、勤め先が変わった。

なんとなく変化を感じ始めたのは、たぶん、そのあたりからだ。これといったきっかけがあったわけではない。

でも、今は違う。

会社の中心になりたいという気持ちが、あまりない。それよりも、自分の時間を有意義に使えるようになりたい。理想の1週間を書き出したときに出てきたのも、全部そういうものだった。

いつのまにか、目標そのものが変わっていた。

「良い気づきだと思います」

先生は、そう言った。

「目標が変わることはあります。その都度見直して、変化を見つけていくことも、重要なことです」

変わってもいい、ということだった。

これから先も、僕の目指すところはまた変わるかもしれない。それならそれで、その時に見直せばいい。

今は、週5日をやりたいことに使える生活。それをイメージして進もうと思った。

そして、もうひとつ話さなければならないことがあった。

3ヶ月で退会した、あのコミュニティのことだ。

知らない人と交流するなんて自分には無理だ、と思ってやめた。ただ、あのまま続けていたらどうなっていたんだろう、という気持ちが、ずっと残っている。

それを、正直に伝えた。

「なら、また登録してやってみましょう!」

先生の返事は、早かった。

「今のあきらさんなら、きっと行動できると思います。もしやっぱりダメだったとなっても、次の選択肢を探すきっかけになりますよ」

背中を押された、というのが正しいと思う。

ただ、僕の中の不安は消えなかった。

ここまで、なんだかんだと行動には移してこられた。トレーニングも、食事も、スポーツセンターも。それでも、あのコミュニティで自分がやっていけるかとなると、話が別だった。かなり不安だった。

それでも、何かをしないといけない。

「もう一度登録して、やってみます」

そう伝えた。


やってみます、とは言った。

ただ、始めるのはゴールデンウィークが明けてからにした。スポーツセンターに通い始めたばかりだし、連休までは仕事も忙しい。

理由は、いくらでも出てきた。

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